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醸せ!クリエイター<2室目>

アイデアは

美味しくなる時を

待っている…

まめまめしく、

ねばりづよく、

思考をかもそう。

豆本納トは、

思考を発酵させることを目的とした

納豆型のメモ帳です。

醸し職人の夜は遅い。

 

こんばんわ。タロヤムです。

豆本納トの企画デザインをしています。

発酵系クリエイターインタビュー2室目は、雉鳥ビューさんです。

 

<2室目>雉鳥ビューさん

雉鳥ビューさんは様々なメディアで活躍される漫画家さん。「アメリカという国」をX(当時twitter)で発信されてから一躍有名に。唯一無二の漫画を描かれるビューさんだからこそ、そのノートやメモにはきっと他にない醸しがあるはず。

(取材は溝の口のバーBODEGAにて)

1986年千葉生まれ。2012年、第61回ちばてつや賞に入選し漫画家の道へ。著作に「働きたくないから人間辞めます」(LINEマンガ)、「LOST AND WALK」(コミックMeDu)、「全部遠くにあった」(第20回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品)、その他ネットやコミティアを中心に同人誌、フリーペーパー等を自主制作で発表している。

取材には、持ち出せる量でいいので使用済み・使用中ノートをとご持参頂いたのですが、それでも相当のボリュームに。普段からノートの種類は一定でないとのことで、その乱雑さと溢れ出るラフスケッチやネームや走り書きからすでにぷぅ~んと醸しスメルが。

ああ、こういうのでいいんだよ。

と、第一回目の静謐さとは対照的な混沌さに、安心するタロヤムでした。

(ノート類は文具コーナーでなんとなく買っておき、ストックから使っていくとのこと)

(夥しい量のネームやラフスケッチ、走り書きメモがありました)

この、カードのようなものはなんですか?

これはラフスケッチのひとつで、瞬発的に思いついたビジュアルを書き留めている、とのこと。このライブドローイングのようなカードから、作品作りにつながることもあるそうです。

 

この貼り付けられたメモはなんですか?

パン屋でバイト中に記載したメモで、元はシール用紙だったとのこと。このメモからは作品制作にはつながらなかったとのこと。

ビューさんのメモスタイルは、ライブドローイングでも、ちょっとしたフレーズでも、思い付いたらなんでも書き残すようにするスタイル。

そうすることによって、自分の考えていることを瞬発的、散発的に外部化し、大量にメモを書き溜めていくことで、自分の考えを整理しているそう。

 

考えに詰まった時などにメモを見返し、過去の自分と対話することで、記した時に自分が気になったことを新たな視点で捉えて、全く違う発見につながることもあるそうです。

 

〜作品作りに関して〜

ラフスケッチなどの絵と、文章のメモが結びつく瞬間があり、そこが漫画の基になったりするということもあるが、急に思いついてそのまま漫画制作に着手することもあるそうです。

ただ、そういう場合もメモなどで自分の考えを整理していった結果、ある閾値に達することで作品制作のスイッチが入るではと考えられてました。

ぱっと見でもすごい量のアイデアというか閃きのメモがあるように見えますが、ビューさんはどれくらい作品のアイデアを寝かせているのですか?

作品のアイデアといっても、ネームまでいって進めていない作品もあれば、一言キーワードだけで寝かせているアイデアもある。簡単には答えられない。たとえネームが書けたとしても「最後までいける」という確信めいたものがないと、自分は動き出せないと思う。なので、一度置いてストップしたネーム状態の作品もたくさんある。

なるほど、その「最後までいける」という確信とは、いったいなんなんですかね?

ビューさんが長考に入りました。

醸造とはかくあるべきですね。

 

 

 

溝の口には、6月のぬるい風が吹いております。

 

 

 

 

タロヤムはバタンガ(テキーラのコーラ割り)二杯目に入りました。

なんかおつまみオーダーしたいな…。

 

「地図

「チーズ?」

アイデアを書き出して推敲していく行為は地図作りに似ている。  

日々の暮らしの中で感じたことをラフスケッチやテキストでメモすることで、徐々に物語作品の地図を形作っている感覚がある。ただし、地図として思考を整理することはゴールではない。地図が出来上がったとしても、その地図を自分が歩いてみたいか?という気持ちが一番重要であり、そこが「最後までいける」かどうかの境。

 

そして大抵、完成した地図通りに歩くだけで目的地に辿り着いてしまいそうな作品は面白くならないそうです。

どういうこと????

 

目的地が同じでも、寄り道が面白そうかどうかが重要とのこと。

自分が想定した通りに物語を作り、進めていたら、全く違うところにいってしまったり、途中で面白いハプニングが起きたり、そういった想定外なことがおきる作品は、うまくいくそうです。

なるほど。街ブラの感覚みたいですね。目的地があって、地図はあるけど、最短距離でいくのではなく、その途中に楽しそうなお店やイベントが発生しそうかどうか、その期待できそうな感覚が「最後までいける」というより最後まで楽しみたい、最後まで描き切りたい、と思わせる感覚なのですね。

 

 

ビューさんの作品は、どこか「旅」を感じさせる作品が多い気もします。

 

しっかり計画した旅程でも思いがけない発見のある旅や、思いつきで夜行列車に飛び乗る旅、ビューさんの作品から醸し出される、心元なさや、あっけらかんとした明るさの根元に繋がりそうな、作品の深さに触れる取材となりました。

 

(現在、ビューさんの作品はアメリカの出版社でも英訳され販売されているそうです!)

最後に、思考に行き詰まり、マンネリに陥りそうなクリエイターを含む万人にメッセージを貰いました!

ビューさんありがとうございました!

そして、お気軽にアイデアを発酵させたいというそこのあなたは、

ぜひ豆本納トを!

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